一般社団法人日本肝胆膵ネットワーク 5年目を迎えて

当一般社団法人は、肝胆膵領域がんの臨床研究のすそ野を広げ、研究しやすい環境やプラットフォーム作りを目的に2021年1月、設立されました。肝胆膵がんの研究者だけでなく、多くの医療機関、関連する学会や研究会、企業のみなさんとネットワークを広げ、肝胆膵がんのエビデンスを作りたいという思いです。
新しい組織づくりは慣れない作業も多く、手探りでこの4年間進めてきた感があります。これまでの多くの連携いただいてきた関係の方々との、まさに「ネットワーク」のおかげでここまでこれたかなと思っているところです。その間、私が発足当初の代表理事を務めていましたが、早々に私自身の都合で永野浩昭先生に代表理事をお願いして大切な2年目からの3年間、運営いただきましたこと、改めてここにお礼申し上げます。今回、再度当法人の代表理事に就任させていただきましたこと大変光栄であり、これまでの経験とみなさまの熱意を引き継いでさらに高みを目指してまいりたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
当法人は、2025年3月の時点で、施設会員84施設、登録研究者1,092名、個人会員4名、賛助会員24社に参加いただく研究グループとなっています。組織運営も、業務および会計に関する監査(川口監事、石井監事)や外部会計監査の体制、組織委員会(井岡委員長)と利益相反委員会(波多野委員長)など組織ガバナンスを担当する組織が機能し、事務局とデータセンター(上野事務局長)の業務も拡張してきました。今後さらに法人としての安心確実な体制を整備していかなければと考えています。
当法人のメインの仕事は臨床試験を行い、エビデンスを発信することにあります。この4年間でJON2101-Hから始まり、現在計画を進めているJON2404-Bまで23本の臨床試験が実施・計画されています。臨床試験委員会(上野委員長)と研究支援委員会(森實委員長)でしっかりレビューいただき、理事会での承認と手順も整備されてきました。臨床研究には研究費が必須です。これまで賛助会員である製薬企業さんとの受託や共同研究を通じて収益事業として行い、さらに非収益事業の臨床試験を展開しています。今後はこれらを発展させるだけでなく、公的競争研究費も視野に入れて取り組んでいく必要があります。
もう一つの事業の柱は、最新の情報を共有して討論する肝胆膵エビデンス Updateセミナーです。研究支援委員会(森實委員長)中心に夏と冬の2回、200-300名の会員の方々に参加いただいています。臨時の教育セミナーも含め、充実させていきたいものです。
当法人も今年5年目に入りました。新たな国際的活動も国際委員会(池田委員長)を中心に海外研究者との交流をスタートしています。若手研究者への研究助成も進めていきたいと相談しています。当法人が10年、20年、がん医療の発展に寄与できるよう、さまざまなネットワークを通じてさらに育っていくことを祈念して、我々一丸となって努めてまいります。これからも一層のご協力ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年4月
代表理事・理事長 古瀬純司