理事・委員長
波多野 悦朗(京都大学医学研究科肝胆膵・移植外科教授)
部位別のがんによる死亡者数は肺がんがトップですが、肝がん、胆道がん、膵がんを合わせた肝胆膵がんでは肺がんを超えます。いずれのがんでも外科的切除が、治癒が最も期待できる治療といえますが、切除の適応にならない進行がんの患者さんや切除しても再発をきたす患者さんが多くいるのが現状です。
私は、長年、肝胆膵外科医としてこの難治がんの治療にたずさわってきました。メスの力を信じて安全で正確な手術を遂行するために、技術の向上に努めてきましたが、メスの限界があるのも事実です。最近の薬物治療の開発やゲノム医療の進歩により、ひとりでも多くの患者さんを治癒に導くことができるように、治癒が無理でも少しでも長く元気な日々が送れるように、この「日本肝胆膵オンコロジーネットワーク」を通じて少しでも貢献できれば幸いです。